みなさんこんにちは!
明石のパーソナルトレーニングジムTremの大元です。
私たちはアスリートに対してトレーニングの重要性を説明する時に、よく【パフォーマンスピラミッド】の話をします。
パフォーマンスピラミッドとは、競技のパフォーマンスを上げていくための考え方です。
野球を例に考えてみます。
まず1番の土台部分になる体力要素が必要になります。
体力要素は基礎的な筋力・スピード・正しい体の動かし方などです。
次に技術です。
体力がつけば、練習を沢山こなすことができます。
練習を疲れずに数多くこなすことができれば、次第に野球そのものの技術も上がってきます。
最後が戦術です。
1人1人の体力や技術が上がると、次はチームとして戦術を考えることができるようになります。
継投作戦で守り抜いたり、バントでコツコツ攻めていくなど、チームとして具体的に戦術の練習をすることができるようになって初めて勝てるチームができてきます。
というように、試合で勝つためにはまず体力を上げることが最優先で、その先に技術練習や戦術練習があることを伝えると、アスリートのみなさんは納得してトレーニングをしてくれるようになります。
これがアスリートのパフォーマンスピラミッドの考え方です。

実はこの考え方はボディメイクにも役立つと感じています。
ただ、他のスポーツとは違って個人競技であること、トレーニングそのものが結果として現れることからアスリートのパフォーマンスピラミッドとは内容が少し異なります。
ボディメイクにおけるパフォーマンスピラミッドの土台は【ポジョン】です。
これは姿勢や、関節可動域のことを指します。
その次にくるのが【パターン】で、これは筋トレ時のフォームにあたります。
そして最後が【パワー】で、簡単に言えば筋力です。
姿勢が整った状態で、キレイなフォームでガツンと重量を扱うことで筋肉はキレイに肥大していきます。
① position(姿勢・関節可動域)
② pattern(フォーム)
③ power(筋力)

言葉の説明だけではわかりにくいと思うので、肩のトレーニング種目であるサイドレイズを例に上げて、このパフォーマンスピラミッドを解説したいと思います。
まずは姿勢を整えることから始めます。
例えばスマホ首の方がいきなりサイドレイズをするとどうなるでしょうか?
スマホ首とは、ストレートネックやラウンドショルダーと呼ばれ首が前に出ている状態です。
この姿勢では、約4キロもある首が前に倒れすぎないように、後ろにある僧帽筋が過剰に働くので、首の後ろや肩がバッキバキの状態です。
このままサイドレイズをすると、筋肉はドミナントといって過緊張している部位を優先的に動かす特性があるので、僧帽筋にしか刺激がいきません。
肩を大きくしたいのに、首周りばかりがしんどくなるという方は、まずはラウンドショルダーの改善が必要になります。
グリッドやテニスボールで、僧帽筋などの緊張している筋肉達を緩めることから初めてください。
筋肉がほぐれて可動域が確保できたら、次にフォームを身体に覚えさせます。
サイドレイズのよくあるエラーは、ダンベルを身体の真横に振り上げてしまうことです。
これもまた、三角筋ではなく僧帽筋に刺激を逃してしまう原因になります。
肩甲骨は胸郭に対して30°外転した位置についています。そのためダンベルは真横ではなく、30°外転の方向に振るようにします。
意識としては斜め前に振り上げるイメージがいいと思います。
姿勢が整い、可動域がとれた状態で正しいフォームで動作することで、初めて狙った筋肉に対して刺激を送ることができるようになります。

しかし、、
正しいフォームで動作ができても、負荷が弱ければ筋肉の発達は見込めません。
ポジョンとパターンを獲得できれば、関節は正しい位置にきます。
これをジョイントセントレーションといい、強い力を発揮できる状態にあるので、適切な負荷をかける(重たい重量を扱う)ことで筋肉は肥大していきます。
このようにパフォーマンスピラミッドに則ってトレーニングを行うことで効果が出てきますが、ピラミッドが逆転した場合は、オーバーパワーといって効果がでないばかりか、障害を引き起こすリスクが高くなります。

先述したサイドレイズを例にあげると、ラウンドショルダーの方がいきなり高重量で行うとケガをしてしまうのは想像しやすいと思います。
仮にケガをしなくとも、肩よりも首周りの僧帽筋が発達するはずです。
特にボディメイクを始めたての筋トレ初心者は、このパフォーマンスピラミッドが逆転し、オーバーパワーを引き起こしている方が多く見受けられます。
ついつい重たいものを持ったり、姿勢やフォームを無視して追い込むことを優先してしまう気持ちはよくわかりますが、身体作りを長い目で見た時には、パフォーマンスピラミッドの考え方を取り入れて順序立ててトレーニングを行っていくことが大切だと思います。
ケガなく安全に効果的なトレーニングを継続することがボディメイクにおいては何より大切です。