使える可動域とは?可動域が広い=良い動きではない理由
- Daisuke Inoue

- 6 日前
- 読了時間: 5分
こんにちは。
神戸垂水のパーソナルトレーニングジムTrem(トレム)、鍼灸師・トレーナーの金澤です。
ストレッチはしているのに、なぜか動きにくい。
柔らかいはずなのに、パフォーマンスが上がらない。
それは、「可動域の広さ」ではなく 使える可動域 が不足している可能性があります。
「身体が柔らかい=動ける身体」「可動域が広いほど良い」
トレーニングやストレッチの現場では、今でもよく聞かれる考え方です。
確かに、まったく動かない身体よりも、ある程度の可動域があることは重要です。しかし実際の現場では、可動域は十分に広いのに、動作が安定しない・力がうまく伝わらない・同じ部位を何度も痛めてしまうというケースが少なくありません。
本当に見るべきポイントは、
「どれだけ動くか」ではなく「その可動域を自分でコントロールできているか」です。
可動域には「2つの種類」がある
可動域を正しく理解するために、まず押さえておきたいのが、可動域には大きく分けて2つの側面があるという点です。
① 構造的な可動域
構造的な可動域とは、
関節の形状
骨の配列
靭帯や関節包の余裕
といった身体の構造そのものによって決まる可動域を指します。
これは生まれつきの要素や成長過程の影響が大きく、トレーニングやストレッチだけで大きく変えることは難しい部分です。言い換えると、「その人の身体が持って生まれた動ける範囲」とも言えます。
② 機能的な可動域
一方で、スポーツや日常動作において本当に重要なのが、
機能的な可動域です。
これは、
筋肉と神経によるコントロール
安定性を保ったまま使える範囲
実際の動作の中で再現できる可動域
といった要素を含みます。
可動域が「ある」ことと、「使える」ことは別物です。動作中に安定して再現できない可動域は、パフォーマンス向上にはつながりません。
可動域が広くても「良い動き」とは限らない理由
1️⃣ 制御できない可動域は“不安定さ”になる
例えば、
股関節は大きく開く
肩関節の可動域も広い
にもかかわらず、
片脚で立つとバランスが取れない
力を出そうとすると関節がグラつく
といった状態が見られることがあります。
この場合、可動域は「使える範囲」ではなく、身体が逃げるためのスペースになっています。自分で制御できていない可動域は、安定性を失いやすく、結果として関節や筋への負担を増やしてしまいます。
可動域が広い=安定している、というわけではありません。安定性が伴わない可動域は、ケガのリスクを高める要因になります。
2️⃣ 柔らかさが“代償動作”を生むこともある
可動域が広い人ほど、
本来動くべき関節がうまく使われない
別の関節がその動きを代わりに引き受ける
といった代償動作が起こりやすくなる場合があります。
例えば、
股関節の安定性が不足しているために、腰が過剰に動いてしまう
体幹が使えないことで、肩や首に力が入りすぎる
こうした状態でトレーニングを続けると、見た目上は動けているように見えても、身体の内部では負担が蓄積していきます。
その結果、
「柔らかいのに痛みが出る」
「動けているはずなのにケガが多い」
といった状態につながっていきます。
3️⃣ スポーツ動作では“最大可動域”はほとんど使われない
多くのスポーツ動作は、
関節の中間位
すばやく反応できるポジション
で行われます。
つまり、競技パフォーマンスに必要なのは、関節を最大まで動かす能力よりも、中間域を安定して、素早く、正確に使える能力です。
可動域だけを広げ続けると、
出力が安定しない
動作の再現性が下がる
パフォーマンスにムラが出る
といった問題が起こることもあります。
本当に重要なのは「使える可動域」
Tremでは、単にストレッチで可動域を広げることを目的にはしていません。
どこまで動かせるのか
その範囲を自分で安定してコントロールできているか
実際の動作の中で再現できているか
これらを評価した上で、身体づくりを進めていきます。
可動域 × 安定性 × 連動性
この3つが揃って初めて、「動けるカラダ」が成立します。
こういう人は要注意(チェックリスト)
以下に当てはまる項目が多いほど、
「可動域はあるが、使える可動域が不足している」可能性があります。
ストレッチは習慣的にしているが、動作が安定しない
柔らかいと言われるが、スポーツ中に力が抜ける感覚がある
ケガや違和感が、同じ部位で何度も起こる
動作を意識すると、逆にぎこちなくなる
ウォームアップ直後は良いが、動きが長続きしない
これらはすべて、
可動域そのものではなく、使える可動域の問題であるケースが多く見られます。
Tremでは、
「どれだけ動くか」ではなく、
その可動域を安定して使えているかを評価し、トレーニングにつなげています。
柔らかさに不安がある方ほど、
一度ご自身の 使える可動域 に目を向けてみてください
まとめ
可動域が広いだけでは、良い動きとは言えない
制御できない可動域は、不安定さやケガの原因になる
本当に必要なのは 使える可動域 を高めること
柔らかさを追い求める前に、
その可動域をどのように使えているのかを一度見直してみてください。
身体は「広げる」だけでは変わりません。
正しく使えるようにすることで、動きの質は大きく変わっていきます。
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