ジュニアアスリートのオーバートレーニング|やらせすぎ問題が起きる理由と休ませる基準
- Daisuke Inoue

- 2 日前
- 読了時間: 3分
こんにちは。
神戸垂水のパーソナルトレーニングジムTrem(トレム)、鍼灸師・トレーナーの金澤です。
ジュニアスポーツで最も相談が多いのが、
「どれくらい練習させるべき?」「疲れてそうに見えるけど休ませていいの?」という問題。
実はこの問題、「基準がない」「判断軸が曖昧」「子どもは疲労を言えない」という
複数の要因が重なって起きています。
特に保護者の悩みは、
どこからがオーバートレーニングなのか分からない
子どもは回復が早いって聞くけど本当?
しんどそうに見えるけど、ただの甘えかもしれない
練習を休ませたせいで置いていかれないか心配
強くなるためにはどれだけやらせていいのか基準が欲しい
という“判断基準のなさ”が原因。
ジュニアアスリートのオーバートレーニングは“大人の基準が通用しない”
大人なら、
心拍
HRV
睡眠
パフォーマンス
筋肉痛の深さ
などである程度判断できます。
しかしジュニアは…
成長スパートで心拍が乱れやすい
疲労を言葉で伝えられない
アドレナリンで“元気に見える”
飲み込みが早く、急成長もする
学校ストレスや睡眠が大きく影響
ジュニアアスリートのオーバートレーニングは、大人と違い明確な指標がなく、保護者が判断に迷いやすい分野です。
このため 大人の判断基準が使えない。
「昨日は元気だったのに今日はダメ」「急に動きが悪くなった」これが普通です。
“回復が早い”は半分ウソ。外見と内部が一致しない
子どもは…
痛みを誤魔化せる
疲れの自覚が薄い
仲間がいると頑張れる
やりたい競技は無限に動ける
そのため、
“元気に動いている=回復している”とは限りません。
筋肉・腱・関節・神経は大人より脆い部分も多く、むしろ「回復は早くない」ケースが多いです。
逆に“親が心配しすぎ”で休ませすぎ問題も起きる
現場でよくあるケース
「疲れてる気がする」
「今日はやめとこうか?」
→ 実際は動きは安定していた→ 間を空けすぎて逆にパフォーマンスが落ちる→ 身体が運動負荷に順応しなくなる
つまり、親の感覚だけで判断するのも危険。
現場では“疲労のサイン”が最も正確な判断軸になる
ジュニアの場合、オーバートレーニングになる前にほぼ必ず「身体の機能低下サイン」が出ます。
【動きのサイン】
着地がつぶれる
体幹がぶれる
左右差が急に大きくなる
軸が作れない(Tremでの動作チェックでも一目で分かる)
【メンタルのサイン】
集中力が落ちる
ぼーっとする
機嫌が悪い
イライラしやすい
【身体のサイン】
朝起きづらい
食欲が落ちる
風邪をひきやすい
膝・肘・かかとの痛み
【パフォーマンスのサイン】
タイムが安定しない
ボールの伸びがない
ジャンプ力低下
👉 このうち2つ以上当てはまれば「負荷調整すべき」サイン。
現場で使える“どこまで頑張らせていいか”のガイドライン
科学的根拠や世界基準だと
① 週1日は“完全休養”が必須(世界基準)
② 強度の高い練習は連続2日まで
3日続くと故障リスクが跳ね上がる。
③ 大会週は“量 × 強度”が普段の130%を超えやすいので調整が必要
④ 疲労サインが出たら24〜48時間の負荷軽減
⑤ 痛みが出たら48〜72時間の負荷軽減が鉄則
⑥ 元気そうでも“動きが崩れていたらNG”
見た目ではなく動作が本当の指標。
まとめ:量+質を積み重ねた子が伸びる
ジュニアの成長は、練習量より 回復・動作の質・成長段階に合わせた負荷管理で決まります。
やらせすぎ=強くなるではなく、やらせすぎ=伸びない・ケガしやすいのが現実です。
逆に、疲労管理と動作を整えたうえで練習すれば競技力は安定して伸びていきます。
保護者が判断に迷うのは当たり前。だからこそ、科学的な指標と“見える仕組み”で支えることが必要。


